「無償の愛」はない
「お母さん」と聞いて、普通の人は何を思い描くのでしょうか。
エプロンをして、微笑んでいる姿?
それとも割烹着を着たサザエさんに出てくるフネさんのような姿?
キッチンで料理をする姿?
編み物をしている姿?
どちらにせよ、慈愛に満ちた姿が多いのではないでしょうか。
私の場合は、目を吊り上げ、口を尖らせ、憎々しげに私を睨み下ろす姿です。
「可愛くない」
「あっちへ行って」
「産まなきゃよかった」
「何でアンタの面倒なんか」
等々、セリフ付きで蘇ってきます。
実際、母の笑顔がどのようであったか記憶がぼんやりとしていて、思い出そうとしてももうそれすらできません。
私の最も古い記憶は、確か1歳半から2歳くらいの時の記憶なのですが、この頃にはもう、母の顔は怒りと不満、そして憎しみに満ちたものであったと思います。
習慣的に、「無償の愛ってないんだなぁ」と体得したのもこの頃でした。
思えばこの記憶が、母娘のしんどい関係の始まりでした。